ミンナと人形遣い
川中子義勝 作・絵
沖積舎 2002年 ISBN 4-8060-0647-5 C1092 \2500
 
 ミンナと人形遣い
 
 
 舞台 :
 人間たちの国
(テュービンゲン、マールブルク、東京)
 人形たちの国
 
 登場人物 :
 ミンナ(実菜)、ハマン老人、
 クララとジークリート(マリオネット)
 
 
 
 
1.プロローグ
 
これは人形のお話です。
いかがですか、
そんなお話が必要な人はいませんか。
人形が命を得て、
恋をしたり
冒険をしたりする話や、
人形が願いをかなえてくれる
そんなお話がほしい人はいませんか ―
いいや、
そんな話なら、もういくつも知っている、
空想のはなしはもうたくさんだ ―
そんなふうにおっしゃるあなたには、
とにかくも、これを手にとってくださった労に
こころからありがとうと申し上げ、
幸せをお祈りさせてください。
けれど、もう一人のあなたには、
そう、そこで、
ちょうどお話しひとつくらいの大きさの
願いや期待をもって、
この本を手にとってくださっているあなたには、
ようこそと心よりのご挨拶を申し上げ、
わたくしたちの
舞台へとご案内もうしあげます。
ひとくみの人形の別れと再会のお話へ。
それはまた、
すこうし昔の時代の、
ひとりの娘のお話でもありますが・・・・
 
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