このお話には後のつづきがあります。
ミンナは、いつかもういちどハマン老人を訪ねたいと思っていました。しかし、ミンナの時代は、今のように簡単に世界を行き来できませんでしたから、いつかいつかと思っているうち一、二年がたち、もう五年近くが立ちました。
冬もまもなく終わりという頃のある日、ミンナの処へ、ひとつの荷物が届きました。包装を解くと、見覚えのある古びた鞄が現れ、その中にはジークリートとクララが大切に荷造りされていました。差出人の名前は知りませんでしたが、荷物には心ある筆跡で添え書きがしてありました。
ミンナさま
身よりのない人形の宛先として
あなたの名前が指定されていました
どうぞ大切にしてください
信じています
その意味するところは明らかでした。荷を解いたそのままのすがたで、夕暮れがふかまり、部屋の中が真っ暗になっても ミンナは肩を落としたまま動きませんでした。